秘密保全法×共謀罪=一党独裁

今国会で特定秘密保護法案(旧名称「秘密保全法」)が審議される。
来年の通常国会では「共謀罪」が審議される予定だ。(法務省)(産経の記事*)

政府・与党は「アメリカとの情報共有のため」「国連のテロ防止のための条例を批准するため」「東京オリンピック2020のテロ防止のため」にこの二つ(秘密保全法と共謀罪)を法制化すると言う。本当にそれが目的であろうか。

秘密保全法案は、既に現行法(国家公務員法地方公務員法自衛隊法)で規定されている守秘義務を罰則強化(懲役10年へ)するものでしかない。罰則を強化する目的は特に無い。尖閣での中国船舶の衝突事件のビデオがYouTubeに流れたことが記憶に新しいが、このビデオは「国家秘密」などではなかったことが認定されている。リークした当時海上保安庁職員は処罰されていない。けれども、結局は職場を追われてつらい目に遭っている。(脇道にそれるので、それはひとまず横に置く)

来年審議される予定の「共謀罪」は、刑法の「行為を罰する」という原則を大きく拡張して「犯罪を共同実施する合意=共謀」が成立した時点で犯罪とする。現行刑法は未遂(殺人未遂など)や準備(凶器準備集合罪や銃刀法)など、凶悪犯罪の準備を予備的に犯罪としているが、それは例外であって、原則は「犯罪の行為を罰する」ものである。共謀罪は、合意したことを罰するので、行為を伴う未遂や準備を超えて、計画合意したこと(つまり、頭の中の出来事)を犯罪として認定する、大きなジャンプである。

凶悪犯罪防止が目的なので、4年以上の罰則が適応される犯罪にのみ共謀罪が適用されるということになっている。(あれ?秘密保全法によって、公務員法の守秘義務違反の刑罰が1年から10年になろうとしているんだよね・・・真の目的はこれかぁ、と思うのは私だけでしょうか)

考えたくはないが、秘密保全法案と(来年の)共謀罪が両方成立した時、起きることを想像してみよう。

SPEEDIのデータを公開せよ、と集会すると、「特定秘密の漏洩を教唆する共謀」なのかもしれない。
福島原発の事故が起きて、SPEEDIのデータは隠された。それを公開せよ!と集会で決議したとしよう。政府は「SPEEDIのデータは予測であって、公開すると公の秩序を乱す(パニックを起こす)ので公開しないと決めた。それは「特定秘密」であると指定するかもしれない。なので、それ(特定秘密)を公開せよと言うことは秘密漏えいの教唆であって、集会の参加者は、その共謀罪に問われる(のかもしれない)。集会参加者は逮捕される(のかもしれない)。

◆野党は国家転覆を狙う「公の秩序に反する」「共謀」である。全員投獄して一党独裁
テロと野党は、勿論その行為は全く違うけれども、現体制の転覆を狙っていることは共通である。だから、以下のロジックが成立する(かもしれない)。
野党は、国家転覆を狙う、つまり「公の秩序に反する」「共謀」である。秘密保全法は公の秩序を乱す情報開示を違法とし、それの共謀が罪だとなると、野党全員を投獄できる。これが、麻生太郎氏がポロッと言ってしまった「ナチの手口に学べ」であろう。ナチスドイツは実際、一党独裁を成し遂げる前に、実質的に唯一反対勢力だった共産党員を片っ端から投獄している。

秘密保全法案と、(来年来るかもしれない)共謀罪に強く反対する。

日弁連共謀罪に反対
http://www.nichibenren.or.jp/activity/criminal/icc/complicity.html

*産経記事
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130927/plc13092703090003-n1.htm