藤沢市の情報公開を進めよう

市の組織に「情報公開の趣旨・運用」を徹底しよう
今日の神奈川新聞12面に大きく田崎記者の署名記事が載っていた。
市民が情報公開請求した時に、市が拒絶し、それを不服とする請求者が情報公開審査会に訴えて、結果市の拒絶がひっくり返ることが多くなってきたという記事だ。市は職員に対して市の情報公開条例の趣旨・運用の教育を進めている、ともある。
神奈川新聞のwebにも同じ記事がある↓
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1212220017/
審査会には頑張ってもらいたい。前海老根市長時代には徹底した秘密主義だったので、その規範や公開の基準が職員に染み付いているだろうことは容易に想像できる。良くも悪くも役人は前例を大切にするから、新市長が情報公開を進めると言っても現場は簡単には変わらない。
情報公開審査会の答申に強制力を
神奈川新聞の記事の内容に加えて、私なりにいくつか情報公開を進める上での課題を提起したい。
江ノ島水族館跡地の取得未遂事件で、横浜地裁は取得予定金額を公開するように市に命じたのは記憶に新しい。8月の私の日記にも書いた。横浜地裁の判決を受けて取得予定金額は開示されたものの、不動産鑑定書は未だに公開されていない。情報公開審査会は同鑑定書を公開すべしと答申したが、市は関係者に意見を聞いたり反訴する機会を与えるとして時間が経っている。審査会が公開を決めたら、それを市が無視/握りつぶすことは許されない。土地取引など高額取引に関する情報について関係者の意見聴取が必要になる仕組みになっていることがナンセンスだとしか言いようがない。当然のように透明性が求められる事案については、書類の提出時に公開の事前同意を取り付けるよう仕組みを改めるべきだろう。審査会の答申の実行に期限を設けるなど強制力を持たせるべきではないか。
藤沢市情報公開条例6条の改正を。
現行の情報公開条例は、原則公開としながらも、あれこれ情報の属性を挙げて非公開とするものを規定している。それが情報公開条例の6条。わかりやすく例示すれば、「企業の競争上の地位などを不当に害するおそれ」があるものは非公開とする、とある。解釈のしかたによっては、これはとても広く解釈できる。これをコンザバティブに運用すれば、何でも非公開と判断できるだろう。
非公開とする情報のガイドラインを明確化
個人情報を保護することや、市による監査・検査・試験についてなど、非公開としなくては市行政が成り立たないものがあることは良くわかる。しかしそういう情報はリストできるはずだ。非公開とする情報のガイドラインを明確化するべきだ。現行の条例では、企業や個人の利益を不当に害する「おそれ」の蓋然性を都度議論することになり、とても非効率である。審議会には3名の弁護士と2名の大学の先生が当たられているが、情報公開請求の不服1件毎にこの専門家が判定している現状である。
市民の知る権利や市政の透明性に対して、言い方は悪いが「損なってもやむを得ない」ような企業利益もある。例を挙げよう。企業が随意契約で市に納めている商品やサービスの値段を公開することは企業にとっては競争相手に自分の値付けを知られてしまうから不都合かもしれない。だが、その価格は税金で賄われるのだから、透明であるべきだろう。それが嫌なら市を相手に商売しなければ良い。
市が自発的に公開
非公開とする情報のガイドラインが具体的に定まれば、今後、世の中は自治クラウド・インターネット活用が進む中で、コストを掛けずに情報公開を進める(つまり自動化する)ことが可能になる。透明な市役所には悪人は棲めない。現行の「申請ベース」の情報公開に加えて、自発的・自動的に情報公開がされる姿を目指すべきではないだろうか。