新聞は書けない藤沢市百条委員会の内幕 その1.善行自治連会長

藤沢市善行6丁目の土地を不自然な経緯・価格で市土地公社が取得した問題で、市議会の調査特別委員会(百条委員会)がシリーズで開催されている。
購入の経緯を詳しくひとつひとつ解明してゆく作業はとても複雑で分かりにくい。議事録が公開されないので、新聞記者さえも混乱してわからない、という声を聞く。市議会には早期の議事録公開を求めたい。

ま、それはさておき・・・過去4日間に渡って行われた委員会を俯瞰して、複雑な土地購入の経緯から、いくつかの仮説を導きたいと思う。委員会はまだ途上で、解明は終わったわけではない。あくまで仮説であって、立証されていないレベルの議論ではあるが、特にこれだけ複雑な話の場合、仮説検証プロセスから真実を導き出すしかないので、仮説を立てることは重要な意義があるものと信じる。仮説だから、こんなことは新聞は書けない。でも、僕なら書けるよ、というわけで、第一弾行ってみよう。

◆証言対立のハブとなっている板垣力善行自治連会長
百条委員会は、宣誓供述で、偽証すれば偽証罪で告発される厳しい世界。にもかかわらず、そういう場所で、もういくつかの証言が真っ向から対立している。

市民農園の陳情の翌日の出来事に関する食い違いがある。市民自治部長は自治連会長がやってきて、問題の6丁目の土地を候補として挙げたと言う。自治連会長はそれを否定した。

  • 農業水産課 対 自治連会長

農水課が記録したメモによると、陳情直後に市民センター担当が「自治連会長は矢島市議に名前を貸しただけ」と言っていたと報告を受けたことになっている。
自治連会長はそれを否定した。

  • 市民相談課 対 自治連会長

市民相談課は同陳情の回答書を自治連会長へ郵送した、という。自治連会長は、回答書は市民センターに入るもので、遅れてそれを受け取ったとして回答書受け取りをを否定した。

◆板垣力善行自治連会長の証言は信ぴょう性が低い?
というわけで、板垣自治連会長の証言は少なくとも三人の証言と対立している。中でも市民相談課の担当の証言との対立に注目したい。市民相談課が陳情の回答書を陳情者本人に送付した、という証言は凄く当たり前のことを当たり前にやった、という公務員の発言で信ぴょう性が高い。物的証拠で裏付けることができる可能性もある。それと自治連会長の証言が矛盾するところが、自治連会長の証言信ぴょう性を下げていると思う。

更に、自治連会長が「(市民農園の)候補地をいくつか、明細地図に丸をつけて示したが、問題の土地には丸を付けていない」と証言した時に原田市議(百条委員)がホワイトボードに地図を貼り付け、「具体的にどう丸を付けたのかここで再現して下さい」と食い下がった。それに対する自治連会長の反応は、「正確に再現できないからやらない。」という逃げだった。僕には当日丸を付けた地図という物的証拠が出てきて、偽証罪を立証されるリスクから逃げたように見えた。僕にはね。やましいことがないなら、できるだけ正確に再現すればいいじゃないか、と。

更に、自治連会長の板垣氏は、善行地域経営会議の代表もしているのですけれども、この地域経営会議は、かなり無理して問題の土地を市の経営計画「里山構想」の対象エリアに指定しています。この会議はこの土地購入疑惑が議会でとりあげられたかなり後で提案をまとめているので、発表会では市民の非難轟々で、「横浜地裁で裁判になっているような土地の問題に地域経営会議は関与すべきではない」という極めて真っ当な市民の意見を無視して、善行里山構想の対象地の中に、問題の6丁目の土地を入れました。裁判で土地購入の目的の妥当性が論点になっているので、後付けで事業目的を作ろうとした行為とも見えました。板垣氏の(ほぼ独断で行われた)陳情が6丁目の土地と無関係だと(板垣氏は主張しています)言うなら、何故、地域経営会議で反対意見をごり押しして里山構想の中に問題の土地を入れたのでしょうか?ここも矛盾しているように見えます。板垣氏本人がどう同会議の結論に影響しているかは、議事録すら非公開なので、特定できません。これもプロセスとしてとても不明瞭なので、議事録の公開を求めて行きます。

そこで、三人と対立している「自治連会長が隠し事をしている」という仮説を置くと、全体のモヤモヤが大いに晴れる。

◆仮説
矢島市議から、「問題の土地を市が購入するために、陳情が必要だ。頼むよ。」と自治連会長に依頼があって、じゃ、しゃぁないなぁと「矢島市議に名前を貸しただけ」と陳情書に捺印して陳情した。けれども、自治連内部から何故そんな陳情を?という声が挙がって、止む無く、「私のせいで迷惑をかけた」と地元自治会に陳謝した。

こう置くと凄く自然なストーリーとなる。自治連会長にとっても、陳情した時は、今こんな大騒ぎになるとは思わなかっただろうし、土地購入を促す側面支援程度の認識だっただろう。

この仮説が成立すれば、もう一つ大きな謎が解ける。それは、何故、土地購入の働きかけ(矢島市議)と、それと無関係を装っている市民農園の陳情が同じ時期に出たか、という謎。加藤市議(百条委員)が「偶然だったと言うんですか?」と委員会で呆れていたが、その通り。両者には必然性があると考えた方がよっぽどすっきりする。

自治連会長と地元市議(矢島市議)と地元の大地主が、無関係で別々の行動を取っていると考えることの方が不自然で、連絡取り合って目的(市に問題の土地を買ってもらう)を達成しようとすることの方が、遥かに自然。

だから、この仮説は結構確率高いと思う。

板垣自治連会長や矢島(当時)市議がこのblogを見たら、ご立腹なさるかもしれない。改めて繰り返すが、このblogは個人的な観測に基づく仮説設定であって、この仮説は、今後の百条委員会で立証されなくては意味がない。