新聞は書けない藤沢市百条委員会の内幕 その3.スルーパスかトラッ

藤沢市善行6丁目の土地を不自然な経緯・価格で市土地公社が取得した問題で、市議会の調査特別委員会(百条委員会)がシリーズで開催されている。
一市民として過去3日間の証人尋問を傍聴してきた。新聞は書けないその内幕を生々しく共有したい。
その第3弾は、ルーパスかトラップ・ミスか「組織の視点から見た市役所」
藤沢市役所は大きな組織である。機能分化して働いている。善行土地取得問題にも多くの部・課・公社が関与しているが、それぞれは本来の機能を果たしているのだろうか。百条委員会での証言内容からそれを検証してみたい。

土地開発公社

土地公社が財政課からの依頼を受けて、土地の概算価格を出した上で理事者の判断に供しようという段階の出来事に関する参事の証言を見てみよう。

土地開発公社参事の証言(順不同):

  • 「(問題の土地の概算価格を鑑定依頼するに当たって、自分は)都市計画図は見ていないし、(周辺の)生産緑地は認識していなかった。」
  • 生産緑地を認識したのは議会で問題になってからのことだった。」
  • 「無道路地で使いにくいという認識は当初からあった。」
  • 「(鑑定士に対して)鑑定条件は指定していない。」
  • 「40年の経験から数字を出しにくい土地だと考えた。」

土地の使用方法は全く決まっていないので、鑑定条件を指定していないのも致し方無いとは言え、無道路地で使いにくいという認識があったのならば、鑑定士に渡す前に、「無道路なのはどうするつもりか?」と依頼元の財政課に問い合わせるなり差し戻すなりするべきではなかったのか。事業目的の無いままに土地買収だけ進めるという無謀なプロセスのしわ寄せが、ここ(無道路地の取り扱い方法)に来ているにもかかわらず、その問題を、土地開発公社は解決しようとはせず、スルーパスしている。

これが、結果として「不動産鑑定士の後悔」として書いた土地価格の異常さに繋がっている。

◆市民相談課

自治連会長から「市民農園の用地確保」の市長陳情が出て、それに対する回答を作成・決裁を受け・回答するプロセスを主管している課である。この担当に、原田市議(百条委員)が本質的な質問をしている。

  • 原田委員の尋問:「陳情書A4一枚には市民農園の候補地が一切書かれていない。にもかかわらず回答書面には『ご提案の土地は善行駅に近く・・・前向きに購入を検討したい。市民相談課』とあるが、何故この回答になるのか?」
  • 市民相談課担当の証言:「市民相談課は、市長決裁を受けた回答について内容を云々することはない。」

組織で機能分化して仕事をしている故に、本件で言えば土地購入案件の全体像が見えている職員は少ない。しかし、上に挙げた二人を責めるつもりはないが、各担当職員の持ち場の範囲内でも「ちょっとおかしいな。」と思えるはずのことがまかり通ってしまっていることが残念に思える。

この二人を責めるつもりはない、と書いたが、それは、以下の理由による。
下の者が上に物申すことがやりやすい職場とそうでない職場があることは皆さん感じておられるだろう。良い悪いは別にして、日頃の上司の言動を背中から見ていることによって、部下はどうしたら得なのかを空気のようなもので感じてしまうものだ。

◆蛇足(市役所バーベキュー事件も同じか?)

蛇足になるが、先日起きた藤沢市役所バーベキュー(火災報知機取り外し)事件は記憶に新しいが、経営企画課長が管財課長に正式文書で「火災報知機についての特段の配慮」を要請し、見事に委託業者が報知器を取り外した上で庁舎内でバーベキューをする、という消防法違反事件が起きた。これも、「ちょっとおかしいのではないか」という声が現場(管財課・委託業者・バーベキュー参加者)から上がらないことが怖い。

同じことがそこここで起きているのではないか、と心配になる今日この頃である。