村岡新駅??

「村岡新駅」(大船〜藤沢間に新駅を作る)の計画が進んでいることが先週わかった。
藤沢市の前市長海老根靖典のマニフェストに載っていた構想なのだが、実現されそうな気配が無いので安心していたら、「いや、いや、計画策定は着々と進んでいるよ」ということらしい。

この計画、JR東日本は乗り気ではない。鎌倉市藤沢市・県がJRを説得する方向へ話は向かっている。事業採算性が乏しいからJRは腰が引けているのであって、これを市・県がごり押しすれば、大きな費用負担が自治体側へ落ちてくることになるのは必至。

そこまでして推進すべき都市計画であろうか。

近隣は工業地帯と閑静な住宅
新駅の予定地は何かと話題の武田薬品工業湘南研究所のすぐ近く、神戸製鋼所の敷地にかかる。
村岡地区は、私も住んだことがあるが、下町情緒豊かな平屋・低層住宅中心の住宅街で、スーパーやホームセンターは近所にあるが、デパート・専門店への買い物は藤沢駅へ1〜2km出かける感じの生活である。家賃が比較的安いメリットを活かして若い人は自転車で藤沢駅または大船駅経由で通勤・通学する。近年は高齢化が進み、電車の駅よりバスのネットワークの増強を望む声が多い。
武田薬品などすぐ近くの企業体は別にすると、東海道を停める新駅を地元が求めているとは言い難い。
交通手段としては、藤沢駅大船駅の駐輪場整備やバスの拡充を考えるべきである。
更に、地区は高齢化が進んでいることから、デイケアセンターも要望されているし、藤沢市全体のことではあるが、保育所が不足しているから、拡充が望まれる。
武田薬品工業湘南研究所の排水問題で住民は怯えている
武田薬品工業の湘南研究所は高度な動物実験を含む研究開発拠点として設立された。海老根前市長時代の負の遺産の一つだが、安全に関わる契約とその監査に住民が直接係ることができず、例えば研究所で何か事故が起きたとしても、市と武田薬品の間で対応が進められることになる。
住民は強い不安を表明しており、近年は路線価も付かないほどに恐怖感が広がっていると聞く。
新駅より先にやるべきことがある
新聞記事にあるように新駅とその周辺整備事業には約100億円の費用がかかると見積もられている。
国全体として生産人口や人口そのものが減り行く今日、商業施設・住宅建設の領域で減りゆくパイを近隣自治体と奪い合うことに100億円投じる余裕があるならば、より先にやらねばならないことがある。それが、バスの拡充・高度化、デイケアセンターの拡充、保育園の拡充、駐輪場の整備などである。
街の活性化には若年層に魅力ある街である必要がある。保育園・駐輪場はその意味で優先度が高いはずなのだが、それを理解している市職員は少ない。

関連資料として下の神奈川新聞記事をご覧いただきたい。

JR東海道線大船―藤沢間の新駅構想:藤沢市が周辺の整備計画案を策定、15年度事業化目指す/神奈川
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1209060048/

この記事に出てくる藤沢市議会建設経済常任委員会での構想説明資料を友人が公開してくれている。

藤沢市議会建設経済常任委員会での村岡新駅構想説明資料
http://www.geocities.jp/daigiri120930/20120908.htm

100億円の投資効果については何も書かれていないし、昔作ったマスタープランにすがりつくように計画上の位置づけの苦しい説明をしている。