藤沢市の新・行財政改革基本方針

鈴木市長自身の言葉で基本方針がきちんと表現されている。
派手な言葉が飛び交うこともないが、沈着に、市役所の現状(過去のコンプライアンス事件多数)と長期の市政が直面する与件をはっきり認識した上で、必要な行政・財政改革をする、という真っ直ぐチャレンジに、まずは拍手を送りたい。
海老根市長から市政を引き継いで9ヶ月。海老根市長時代からの行政訴訟に対応しながら、湘南C-X(シークロス)のアーバンライフサポートプラザの「マスターリース」方式を見直したりと、海老根前市長の負の遺産の整理が大変だなぁ、と見ていたら、その海老根前市長と新井前副市長から名誉毀損で訴えられたりして、鈴木市長の苦労は絶えそうにない。
そういう中、10月22日の市議会行政改革特別委員会で新・行財政改革基本方針(案)が審議され、また外部評価の実施が経営企画部から提案された。
資料はここ↓にあるので、参照いただきたい。
http://www.geocities.jp/daigiri121031/20121022.htm
(いつも資料を公開してくれるmorticianさん、ありがとうございます。)
この改革基本方針の中で『ここ数年の本市における様々な不適切な事案を真摯に受けとめ、「信頼回復」に向け、当然のことながら、法令遵守の徹底、市民や職員による合意形成を図ることを前提として推進していきます。』と述べている。全く以てその通りで、善行土地問題・鵠沼橘土地問題・江の水跡地取得未遂事件・市庁舎内バーベキュー事件・海老根前市長の政治資金問題、何れも遵法精神も、「市民のため」という目的意識も、欠片もない事件が立て続けに明らかになった。善行問題は市民(原田タケル氏)による行政訴訟により差止めになったし、鵠沼橘土地問題は、行政訴訟では差止めにはならなかったものの、適正な価格の1.7倍(7割増し)の価格で市開発公社が購入したことが明らかになったし、バーベキュー事件は13人が消防法違反で書類送検された。一つ一つの事件は長い時間をかけて解決へ向かうだろう。しかし、善行土地問題の百条委員会で明らかになったような不適切な土地購入検討経緯、書類の偽造、不適切な部長・理事クラスの判断が、市長が変わっただけでスッキリ治るとは到底言えない。一般論だが、一度ルールを曲解したり拡大解釈したりする癖がついた組織・現場を立て直すのには大きな努力と時間が必要になるものだ。
同方針では3つの改革の柱が明示された。その第1が「将来収支・経済効果を見据えた事業の効率化」。将来的に医療費負担が増え、法人からの税収が減る傾向の下で、いかに効率化するかが腕の見せ所で、まさにしっかりお願いしたい。不要な財産の処分にも言及されているが、これも大事。塩漬け土地も多々あると聞くので是非ちゃんと片付けて欲しい。
また、4つの視点の節では「市民の視点」として「行政評価結果の公表・公開」と「情報公開の推進と説明責任の明確化」を挙げておられる。是非、強力に推進していただきたい。morticianさんが市民の立場から強力に情報公開制度活用をされていて頭が下がるばかりだが、お話をお聞きすると、情報公開についてはまだまだ逗子市が進んでいて、藤沢は落第点とお聞きする。オープンな市政へ舵を切って欲しい。そもそも、市職員は市民のための公僕(public servant)なのだ。市民が唯一のお客様であって、お客様は神様なのだ。思い出して欲しい。
市民との対話の仕組みとしては市議会に特別委員会を作る他、行財政改革協議会という会議体を作って市民の代表・有識者と議論することになっている。市のホームページ(*)によると、この協議会に澤田久美子さんが市民の代表の一人として入っている。善行土地問題の頃からの市民運動家の仲間とお呼びしていいのかどうかわからないけれども、活躍をお祈り申し上げたい。

(*)藤沢市行財政改革協議会(藤沢市のページ)
http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/gyoukaku/page100024.shtml